G7の会場となる英国南西部のコーンウォール

「クアッド+韓国」特別招待の意味

 先進7カ国首脳会議(G7サミット)が6月11日から3日間の日程で英国の南西部コーンウォールで開かれる。

 新型コロナウイルス感染症の世界的流行が続く中、対面開催は約2年ぶり。

 英政府は開催に当たり、各国代表団の人数を抑え込んだほか、記者団の取材機会も厳しく制限。首脳の記者会見もほとんどがオンラインで行われる見通しだ。

 そうした中で、英国は今回のサミットにメンバーでないオーストラリア、インドのクアッド2か国と韓国を特別招待した。

 ボリス・ジョンソン英首相が参加国の特別参加を執拗に主張した。G7ホスト国は誰を呼ぶか決める権限がある。

 1月以降のG7首脳間のやり取りが手に取るように分かる外交文書がある。

 ブルームバーグ通信が入手した同文書からは以下のような経緯が分かる。

 豪印は旧英連邦国。しかも米国と日本が推進してきたクアッド参加国だ。韓国を招待することには日本が猛烈に反対した。独仏伊も反対した。

「パンデミック禍でバラバラになりかけているG7の結束を強め、タガを締めることを優先すべきだ」というのが理由だった。

 日本は日韓確執が続いている中で「アジアからの唯一のメンバーは自分だ」という自負心からも反対した。

 ジョンソン氏の狙いは、豪印とともに韓国を招き、先進民主主義国10か国が一堂に会し、「共通の価値観」「人権」「永続的経済」の下に団結することで「横暴な中国」に対抗するというものだった。