(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年5月31日付)

2020年代は変化の激しい時代になる。政治家がしっかりしないと、大きく後れを取る可能性がある

 取り返しのつかないダメージが気候に及ぶのを防ぐチャンスが人類にあるか否かは、2020年代に決まることになる。

 だが英国の場合、これ以外にも大きな困難がいくつか待ち受けている。

 その対応如何では、英国民の幸福がどうなるかも決まる。

 ボリス・ジョンソン首相の側近だったドミニク・カミングス氏が先日行った容赦ない議会証言では、それを成し遂げられる能力がこの国の指導者層にあるかは非常に疑わしいことが示唆された。

このまま衰退すれば威信喪失では済まない

 立派なことに、英国のシンクタンクであるレゾリューション財団と、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの経済パフォーマンスセンターは、「英国の決定的な10年間」についての重要な研究に取り組み始めた。

 2020年代が決定的に重要なのは、この国は新型コロナウイルス感染症からの回復、ブレグジット(欧州連合=EU=からの離脱)の余波、現在進行中のテクノロジー革命、そして温室効果ガス排出ゼロへの移行に同時に取り組まなければならないからだ。

 さらには、生産性の伸び悩み、大きな経済格差、急速に進む人口高齢化、高水準な債務という現状からのスタートになる。

 きっとうまくいくなどと考えるのは、ふざけた人だけだ。

 考えてみてほしい。イタリアは1987年に、人口1人当たりの名目所得で英国を抜いた年を「il sorpasso(イタリア語で追い越しの意)」と呼んで喜んだ。

 ところが、20年にわたって実質所得が伸び悩んだ結果、今日では英国に大きな後れを取っている。ドイツとの差はさらに大きく広がった。

 とはいえ、ここ10年間は英国の生産性も伸び悩んだ。

 もしこの傾向を反転させることができなければ、衰退する英国は威信だけでなく、国民の生活水準を引き上げる能力までも失ってしまうだろう。