(英エコノミスト誌 2021年6月5日号)

パンデミック後の時点で中国と米国がかつてない優位性を身につけた(写真は上海のレストラン)

中国と米国は、いまだかつてないほど優位に立っている。

 ちょうど20年前の6月初め、ジェフ・ベゾスという名の熱烈な起業家が経営するスタートアップ企業の株価が1年間で71%下落していた。

 米アマゾン・ドット・コムの臨死体験は、シリコンバレーのおごりを露呈させ、米エンロンの140億ドル規模の不正会計事件とともに米国企業に対する信頼感を粉々に砕いたドットコム・バブル崩壊の一環だった。

 一方、中国は老朽化した国有企業の民営化に苦労し、起業文化を築ける兆しはほとんど見られなかった。

 むしろ明るい希望は欧州にあり、新たな単一通貨が企業に優しい巨大統合市場を生む契機になろうとしていた。

20年前から様変わりした勢力図

 創造的破壊というものは、しばしば将来予想をバカげたものに見せるが、そうした基準に照らしても、パンデミック後の実業界は20年前に予想したような世界とは劇的に異なっている。

 ハイテク企業は世界の株式市場の4分の1を占め、地理的な構成は著しく偏ったものになった。

 米国、そして次第に中国が台頭し、世界で最も企業価値が高い上位100社のうち76社を占めている。欧州の数字は2000年の41社から現在の15社に減少した。

 この不均衡は主に、米国と中国のスキル、そして欧州やその他地域の慢心を反映している。

 そこで2つの巨大な疑問が生じる。なぜ、この不均衡が生じたのか。そして今後も続くのか――。

 それ自体について言えば、大企業が中小企業より優れているわけではない。

 日本株式会社の地位は1980年代に急激に向上したが、地に落ちる結果に終わった。大企業は成功の兆しにもなるが、怠惰の兆しだったりもする。

 世界で2番目に企業価値が高い国営石油会社サウジアラムコは、活力を表す2兆ドルのシンボルというよりは、むしろ砂漠の王国サウジの化石燃料に対する危険な依存の象徴だ。

 それでも、真っ当なタイプの巨大企業の存在は、大規模で効率的な企業が生まれ、競争によって絶えず押し流されていく健全な企業環境の兆候だ。

 これは長期的な生活水準を向上させる秘訣だ。