5月30日、全仏オープン1回戦に出場した大坂なおみ(写真:新華社/アフロ)

 衝撃が走った。女子テニス世界ランキング2位の大坂なおみが「うつ病」に悩まされていたことを告白し、参戦中だった4大大会「全仏オープン」の棄権を公表した。

 突然の事態に世界中が大揺れとなっており、テニス界や著名人らからは大坂に同情的な声が集まり始めている。多くの各国主要メディアも同様だ。しかし、こうした余りにも急激な手のひら返しに違和感を覚えている人も少なくないのではないだろうか。

「会見拒否」にテニス界から反発

 大坂は全仏開幕の3日前となる5月27日、大会期間中の記者会見にすべて応じない旨を、自身の公式ツイッターとインスタグラムで表明して物議を醸していた。これらSNS上では会見に集まる報道陣に対して「人々がアスリートのメンタルヘルスについてあまり考えていないとよく感じていた」と批判し、質問の内容や態度に関しても「負けた選手をあのような場で問い詰めるのは、落ち込んでいる人を蹴落とすようなもの」と厳しい言葉を向けながら会見拒否の理由をつづっていた。

 これに大会主催者側は大坂に罰金1万5000ドル(約165万円)を科すなど猛反発。さらに4大大会(全豪、全仏、ウィンブルドン、全米)主催者は共同声明を発表し、今後も違反行為が続けば大会の失格だけでなく他の4大大会の出場停止の可能性までほのめかす勧告を出していた。