(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年5月25日付)

ベラルーシのルカシェンコ大統領(4月21日、ミンスクでロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談時、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

「ルールに基づく国際秩序」という言葉は、意味のない決まり文句のようにも聞こえる外交官が愛するフレーズだ。

 英国のボリス・ジョンソン首相は一時、この言葉を使うのをやめるよう政府高官に指示する検討をしたことさえある。

 だが、ルールに基づく国際秩序の必要性を疑う人がいたとすれば、つい先日、ギリシャからリトアニアに向かっていたライアンエアーの「FR4978」便に起きたことについて考えるべきだ。

 このフライトはベラルーシ上空を飛んでいた時に、首都ミンスクに強制着陸させられた。

 ベラルーシ政府が、母国での残忍な抑圧について報道してきた著名ジャーナリスト、ロマン・プロタセビッチ氏の身柄を拘束するためだ。

国家によるハイジャックと誘拐

 同氏の拘束は明らかに、昨年の大統領選挙を盗んで以来、政治生命をかけて戦ってきたアレクサンドル・ルカシェンコ大統領からの直接の命令で行われたようだ。

 ベラルーシは、人口が1000万人足らずの小国だ。だが、ルカシェンコ政権による今回のハイジャックと誘拐は、世界において危険な前例を作る。

 やはり国内の敵対勢力を海外で追及したいと考えているはるかに大きな国が、事態の行方を注目する。

 特にロシア(ベラルーシにとって最も緊密な同盟国)、中国、イランの3カ国だ。

 欧州からアジアへ向かう飛行機の乗客は、よくフライトマップを眺め、自分がロシアやイランの上空を飛んでいることに気づいたろう。