任期末期にズレた政策を繰り出す文在寅大統領(写真:AP/アフロ)

韓国で横行する異様な「ミンシク遊び」

(朴 車運:韓国ジャーナリスト)

 当初、期待された韓国の文在寅政権だが、1日も早い退陣を望む人が多くなっている。当初から期待以下の政策を打ち出してきた文在寅政権だが、残りの任期が1年足らずとなった今も、依然としておかしな政策を繰り出している。

 人々が文在寅政府を非難する理由は簡単だ。一般市民の立場を無視した票集めに過ぎない政策と税金の浪費である。極端な不動産政策や生活物価と社会構造を考慮しない最低賃金、交通政策など話にならない政策ばかりなのだ。

 文在寅政府が打ち出す政策に理性はない。感情的で確実性がなく、常人には理解できないという共通点がある。高校生を含め多数の人が犠牲になったセウォル号沈没事件では、海上における交通事故の責任は大統領が負うべきだとして朴槿恵前大統領に事故の責任を押し付けた。1980年5月に起きた民主化運動「光州事件」に対する批判を告発できる法律をつくり出したのも、民主主義国家としてはあり得ない。

 行き過ぎた女性優遇政策は男性の反発を招き、失敗した不動産政策の責任を負う者はいない。最近も、路上のすべての運転手が犯罪者になる可能性がある通称「ミンシク法」を制定した。2019年、スクールゾーンで発生した交通事故で亡くなったキム・ミンシク君を偲んで発議された法律で、スクールゾーンでは時速30キロ以下で走行しなければならず、事故を起こすと厳罰が下される。

 スクールゾーンで減速する法律は以前から存在したが、ミンシク法によってスクールゾーンで事故を起こすと懲役3年以上の刑に処せられる。そのため、わざと子供をスクールゾーンで車にぶつけ、運転者に金品を要求する「ミンシク遊び」が横行している。スクールゾーンも違法駐車だらけのため、運転者は極めて視野を確保しづらい。法律の副作用を考えることなく、自身の人気取りに走った結果である。

 国家の財政は底をつき、ワクチン確保に失敗したが、文在寅政権は相変わらず北朝鮮を支援しようと目論む。文在寅政権が国民のためだと述べて出してきた政策は失敗どころかすべてが批判の対象である。韓国社会の各界各層から「任期が終わるまでせめておとなしくしていてほしい」という声が出ているほどだ。

 だが、空気を読まない文在寅政権は相変わらず意味不明な政策を推し進めている。例えば、今年3月に打ち出された「3050政策」だ。