5月17日、イスラエルの空爆に晒されるガザ市内(写真:ロイター/アフロ)

 イスラエルとパレスチナの「砲撃合戦」が連日、世界を揺るがせているが、中国がいつのまにか、「正義の味方」を演じ始めている。例えば、国連安保理は、毎月順番で議長国が交代するが、偶然にも今月の議長国は中国なのだ。

米国がもたつく間に中国が和平の主導権を

 中国の王毅国務委員兼外相は5月16日にも、日曜日にもかかわらず安保理のオンライン会議を招集。「議長の特権」で、長々と演説した。

「イスラエルとパレスチナの衝突は不断にヒートアップしていて、女性や子供を含む大量の人々が死傷している。事態はとても危険、深刻で、暴力の火消しは容易ではない。国際社会は緊急行動を起こし、局面のさらなる悪化を全力で阻止し、地域の混乱を全力で防止し、現地の人々の生命の安全を全力で維持、保護しなければならない。

 パレスチナ問題は常に、中東問題の核心である。中東が不穏になれば、天下は安寧でいられない。全面的で公正、持続するパレスチナ問題の解決こそが、中東地域の真の永続的平和と普遍的安全を実現させるのだ。こうした緊張した局面で、中国は4点、主張したい。

 第一に、双方の暴力行為の即時停止を求める。第二に、切迫した人道援助の実施を求める。第三に、国際的な停戦への行動が義務だ。第四に、『二国家解決』(パレスチナ国の認定)が根本的な出口だ。1967年の国境をベースに、パレスチナを独立国家として承認し、アラブとユダヤの民族和解を果たすべきだ・・・」

 ジョー・バイデン政権がモタモタしている間に、中国がどんどん主導権を取って、中東和平を進めようとしているのである。