(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年5月12日付)

バイデン大統領には、トランプ氏が企む米国・民主主義の崩壊を何としても食い止めてもらわなければならない

「米国の民主主義は長持ちするのかという問いは古来の問題であると同時に切迫した問題でもある。我々の共和国と同じくらい古い問いだ」

 米国のジョー・バイデン大統領は4月28日、連邦議会での施政方針演説でこう語り、自分の任期に何が危険にさらされているかを明言した。

 また大統領はいみじくも、独裁者たちが米国の民主主義が「私たちを分断した嘘、怒り、憎しみ、恐れを克服」できないと見込んでいると指摘した。

 しかし、独裁者たちの見立ても正しいのかもしれない。

 米国の主要政党の一つが、明らかに反民主主義的になってしまったからだ。これは今や、米国の自由民主主義の命運をかけた2人の年老いた男の戦いだ。

トランプに完全に牛耳られた共和党

 自由民主主義の国では、誰が権力を握るかを公正な選挙で決める。投票をなし崩しにしようとか、結果を覆そうといった試みは反逆罪に当たる。

 これはまさに、昨年の大統領選挙の前後にドナルド・トランプ前大統領が試みたことにほかならない。

 トランプ氏は、米国を独裁国家に変えようとした。

 それ自体は、驚くには当たらないことだ。それが彼の狙いであることは、同氏が政治家としてのキャリアを歩み始めた時から明白だった。

 その試みは失敗に終わった。真っ当で勇敢な人たちが、確実に阻止してくれた。

 だが、この物語はまだ始まったばかりだ。ソーシャルメディアがなくても、トランプ氏はいまだに共和党の支持基盤からの忠誠心を失っておらず、それゆえ党の指導部をコントロールしている。