米空軍の「F-15」戦闘機(4月27日撮影、米空軍のサイトより)

 共同通信社は2021年5月11日11時過ぎに「沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に10日午前から侵入していた中国海警局の船2隻が、11日午前8時40分ごろから相次いで領海外側の接続水域に出た。2隻は日本漁船1隻の動きに合わせて領海内を約21時間航行した」と配信した。

 ほぼ1日も中国公船が日本の領海内を遊弋する状況は異常という以外にない。

 5月11日には別の2隻が接続水域を航行し、88日間連続で尖閣周辺において中国船が確認されているという。

着々と侵攻準備を進める中国

 米国のフィリップ・デービッドソン前インド太平洋軍司令官は在任中の3月9日、米上院軍事委員会の公聴会で、「中国はルールに基づく国際秩序を主導する米国にとって代わろうとする野心を一層強めている。他方、(米国の)通常戦力による対中抑止力が崩壊しつつあり、米国および同盟諸国にとっては最大の危機で、今後6年間のうちに中国が台湾に軍事攻撃を仕掛ける恐れがある」と証言した。

 4月30日に新しく就任したジョン・アキリーノ司令官は3月の指名承認公聴会で「この問題は大半の人が考えているよりもはるかに切迫している」との考えを示し、切迫の度合いははるかに高いと警告した。

 理論的には「6年間のうち」には「明日」も含まれるが、意識的には「今すぐ」ではなく「間がある」ように聞こえる。

 前司令官は「GDP(国内総生産)でも米国を指呼の間に収めるであろう習近平氏の次期政権間ということを示唆したかったのであろうが、アキリーノ新司令官は「そんなに間はないぞ!」と警告したわけである。

 台湾問題と尖閣問題は大いに関係している。にもかかわらず、日本国民の多くは無関心のようである。

 無関心の度合いを高めているのはコロナ禍の最中ということもあるが、それ以上に中国の巧妙な「サラミ戦術」にある。

 関係者以外は注意をひかないように、すなわちサラミをスライスするように、法などを整備しながら、気づいた時にはしっかり周りを固められているというものである。