(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年5月4日付)

人口の多い中国も少子化の影響で今後数十年間で人口が大きく減少する可能性が高い

「中国は豊かになる前に年老いていく」というのは、会議で人が言いたがるセリフの一つだ。大抵、そう言った後にドラマチックな間を置く。

 意味するところは、世界的な優位へ向かう中国の台頭は近く、人口動態という巨大な障害にぶつかる、ということだ。

 中国の低い出生率は、今後数十年間で国の人口が縮小し、高齢化していくことを意味する。

 本紙フィナンシャル・タイムズは4月末、中国の人口がすでに減り始めたと報じた。国連の予想よりも数年早く減少に転じたことになる。

国家の台頭の原動力になってきた人口増加

 大規模で人数が増え、若々しい人口は、人類の歴史の大部分を通して国家の台頭の原動力となってきた。強国には、戦場に立たせる生身の人間と課税する市民が必要だった。

 ナポレオンの欧州征服に先んじて、フランスでは18世紀に人口が急増した。20世紀に入る頃には、フランスの人口はドイツや英国に抜かれ、フランスのエリート層にとって正当な不安の源泉になった。

 だが、規模が縮小し、高齢化する人口は、21世紀には同じ暗澹たる意味合いを持たないかもしれない。

 未来の大国間の紛争が大規模な陸上戦で決まる公算は小さい。

 アゼルバイジャンとアルメニアの間で起きた最近の戦争では、無人ドローンが戦場で決定的に重要な役割を果たした。

 英国の戦略を見直す最近の「統合レビュー」は、陸軍の規模を縮小する一方、技術に多大な投資を行った。

 大勢の若い男性ではなく技術力が未来の国力のカギを握るのであれば、中国はいい位置につけている。

 ロボット工学や人工知能(AI)といった分野で最先端の能力を持つ。14億人の人口――今世紀半ばまでは緩やかにしか減少しない――を抱える中国は、マンパワーも不足しない。

 本当の課題となるのは、中国の人口の規模ではなく、その構造だ。