(英エコノミスト誌 2021年5月8日号)

ウォーレン・バフェット氏(2019年5月撮影、写真:AP/アフロ)

米バークシャー・ハザウェイには運用成績と企業統治を新たな視点で見直すリーダーが必要だ。

 ウォーレン・バフェット氏は90歳の今でもバークシャー・ハザウェイを率い続けている。それも最高経営責任者(CEO)、取締役会会長、最高投資責任者(CIO)の3役を兼任している。

 この名高い投資家が巨大なコングロマリット(複合企業)の後継者に誰を指名するかは、何年も前から企業経営者たちの世間話のタネになってきた。

失言で明らかになった後継者

 その答えが世界の知るところとなった。

 ただし、それはひとえに、バフェット氏の右腕である97歳のチャーリー・マンガー氏が5月1日、年次株主総会の席でうっかり口を滑らせてしまったためだ。

 おかげでバフェット氏は、信頼の置ける補佐役でバークシャーの非保険部門を統括しているグレッグ・アベル氏(58)がCEO職の後継者であることを認めざるを得なくなった。

 事業承継の計画をこのような形で公にしてしまう不器用さは、同社のより大きなパターンに合致する。

 バークシャーは巨大な株式公開企業で、その市場時価総額は6450億ドル(約71兆円)にのぼる。同社の熱心なファンである個人株主も多い。

 ただし、その構造と経営方法は、バフェット氏が同社を買収した1960年代からほとんど変わっていない。

 同氏は引退に消極的なことを隠しもせず、死んで5年経ったらCEOを降りると冗談を飛ばしたこともあった。

 しかし、時代に取り残されないようにするためには、バークシャーも変わらなければならない。変化には、新しい人物をトップに据えることも含まれる。