(写真はイメージです/Pixabay)

(髙橋 義明:明海大学経済学部教授)

 大阪府、東京都などを対象とする新型コロナの緊急事態宣言は再延長となり、宣言対象地域も5月12日から愛知県、福岡県に拡大した。繁華街での人流抑制を実現できたと菅総理は成果を強調したが、Agoop(東京都渋谷区)の人流データ分析などによると、ゴールデンウィークの東京などから宣言対象地域外の観光地などへの人流が大幅に増えており、感染が拡散した可能性がある。

 そうした中、これまで活用されていないデータを使った感染抑制策を打ち出せないだろうか。

 海外と違って日本では、政府外の研究者は政府・自治体保有のデータに簡単にアクセスできない。そこで中曽根平和研究所では3月中旬に一般国民向けの意識調査(有効回答数6122人)とともに第3波までに新型コロナ陽性になった人(既陽性者)に対する実態調査を行った(全国30万人から感染の有無でスクリーニングした有効回答数1599人)。医療機関や介護施設におけるクラスターで感染した高齢者は回答者の中にほとんど含まれなかったが、それらの回答者を除いた場合、回答者の分布は都道府県別感染者数、月別感染者数と大差ないことから、陽性者の代表性を一定程度確保できたと考えられる。

 以下では既陽性者の声から今後の対策を考えたい。