昨年11月に来日し、国立競技場を視察したトーマス・バッハIOC会長(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 新型コロナウイルスの新規感染者数は容易には減少せず、医療体制が崩壊の危機に瀕している。自宅で入院を待ちながらそのまま亡くなってしまう人も現れている。重症者は、5月7日に1131人と過去最多を更新した。

GWを狙った「短期集中」策が奏功せず

 政府は、東京都、大阪府、兵庫県、京都府に出されている緊急事態宣言を31日まで延長し、また愛知県、福岡県も対象にする方針を決めた。また、7つの県のまん延防止等重点措置の適用も31日まで延長し、新たに、北海道、岐阜県、三重県を加え、宮城県は対象から外す方針である。

 ゴールデンウィーク中の「短期集中」で強力な手を打ったはずだったが、これが功を奏さず、延長せざるをえなくなったのである。

 とくに変異株が急速な勢いで席巻しており、感染力が強いのみならず、重症化する患者が増え、死者の数も増えている。この感染スピードに、医療資源の適切な配分もワクチン接種も追いついていない。「入院待ちで自宅待機」などというのは先進国であってはならない事態である。