ウーバーテクノロジーズ サンフランシスコ本社(写真:AP/アフロ)

1~3月期11%減収、事業売却で赤字縮小

 米ウーバーテクノロジーズが5月5日に発表した2021年1~3月期決算は、売上高が前年同期比11%減の29億300万ドル(約3200億円)で、4四半期連続の減収となった。運転手を英国雇用法に基づく「労働者」として区分する英最高裁判決を受け、解決のための準備金を確保したことに伴い、売上高が6億ドル減少した。

 純損失は1億800万ドル(約120億円)に縮小した。前年同期の赤字額は29億3600万ドル、前四半期の赤字額は9億6800万ドルだった。自動運転開発部門「ATG」を米アマゾン・ドット・コムなどが出資する同業の米オーロラ・イノベーションに売却したことによる16億ドルの売却益があり、赤字縮小につながった。

「配達」が「移動」を上回る

 売上高の内訳は配車を含む「移動サービス部門」が前年同期比65%減の8億5300万ドル。料理宅配「イーツ」などの「配達サービス部門」は同3.3倍の17億4100万ドル。2四半期ぶりに「配達」が「移動」を上回った。

 全サービスの総取扱高(利用総額)は同24%増の195億3600万ドルで、四半期ベースで過去最高を更新した。「配達」が同2.7倍に増加、「移動」が同38%減少した。

 また、ウーバーが利益水準の指標として重視している調整後EBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)は3億5900万ドルの赤字となり、前年同期の赤字額6億1200万ドルから改善した。

 ダラ・コスロシャヒCEO(最高経営責任者)は声明で「ウーバーはエンジンがフル回転し始めた。消費者は再び我々のクルマに乗るようになった。配達サービスも拡大しており、消費者は引き続き利用している」と述べた。

 ウーバーは5月4日、ソフトバンクグループ(SBG)のビジョン・ファンドが出資する、食品・日用品の配達サービス、米ゴーパフ(Gopuff)との提携を発表した。ゴーパフは歯磨き粉やポテトチップスなどのコンビニエンスストアで売られている商品の宅配を手がけている。

 21年6月から、ウーバーイーツのアプリで注文した商品をゴーパフが配達する。まず、米国の95都市で開始し、夏ごろまでに全米に広げるとしている。

3月に業績回復も決算に反映されず

 これに先立つ今年4月、ウーバーは21年3月の取扱高が過去最高を更新したと発表した。配車サービスの単月取扱高は20年3月以降の最高を記録。1日当たり平均取扱高は前月から9%増加。配車の年間ランレートは300億ドルを超えた。