大分県での聖火リレーの様子(2021年4月24日、写真:菅直哉/アフロ)

(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

五輪スポンサーはコロナ対策で責任を果たせ

『週刊ポスト』(4月30日号)のグラビアを見て、驚き、あきれ果てた。タイトルは、「新聞・テレビが報じない“スポンサー・ファースト”の『虚しき祭典』 誰がために聖火は灯る」となっている。

 この記事は、冒頭、〈連日聖火ランナーの姿がテレビで報じられているが、それは全体の一面のみを切り取ったものに過ぎない〉と指摘。我々がテレビで見ている映像のことだ。このコロナ禍でなぜ聖火リレーをやる必要があるのか、いつも苦々しい思いで報道に接していた。

 だが実際の聖火リレーはこんなものではなかった。記事を引用する。

〈実際に沿道を行ってみると、目に入ってくるのはコカ・コーラやトヨタ自動車、日本生命、NTTグループなど、スポンサー企業名が大書された改造車両の大行列だ。赤や青の派手な色に塗装し、『ゆず』や『EXILE』などの曲を大音量で響かせ、荷台の上ではDJがマイクを使って『踊って楽しみましょう!』などと叫んでいる。多い時は約30台の車列が続く。〉

 グラビアを見れば分かるが、改造車といってもそれぞれが大型車両だ。車の下には、NTTの旗を掲げて、踊るように行進する若い女性が写っている。沿道にいた男性は、「スポンサーの車を見に来たようなもんだ」とこぼしていたと言う。