インドネシアのジョコ・ウィドド大統領(右)とシンガポールのリー・シェンロン首相。2019年10月撮影(写真:ロイター/アフロ)

 インドネシアの独立捜査機関「国家汚職撲滅委員会(KPK)」関係者が、KPKが捜査に着手しながらも立件を断念した巨額横領事件に関して、重要容疑者がシンガポールへ逃亡し、捜査の追及の手を逃れて「のうのうと暮らしている」として、隣国シンガポールを名指して「汚職容疑者にとって安全な避難場所のようになっている」と手厳しく批判した。

 これに対しシンガポールの汚職捜査機関ならびに外務省が一斉に「インドネシアのKPKによる指摘は事実に反する。我々は適正に捜査情報の提供などインドネシアのKPKなどの当局に協力することは行っている」と即座に反論する事態に発展している。

「シンガポールは犯罪容疑者にとって安全な避難場所」

 これはインドネシアの地元メディア「ジャカルタ・グローブ」(電子版)が4月10日に伝えたもので、KPK幹部である副執行官カルヨト氏が「我々の汚職捜査を困難なものにしている一つが、シンガポールが汚職容疑者にとって逃亡先でありそして安全な避難場所となっているということである」という趣旨の発言を4月6日に地元メディアに対しておこなった。

 カルヨト氏はさらに「インドネシアの汚職容疑者はシンガポールを最も近くて安全な避難場所と考えているようだ」とまで指摘したのだった。