共同会見に臨む菅義偉首相とジョー・バイデン大統領(2021年4月16日、写真:ロイター/アフロ)

(北村 淳:軍事社会学者)

 本コラムでもしばしば紹介しているように、対中強硬派の米海軍海兵隊関係者たちは、バイデン政権が本気で中国と軍事的に対抗する意思はないものと考えている。

 そして、バイデン政権は日米豪印の4カ国による「クワッド」やNATOなどの枠組みで対中包囲網を構築すると口先では公言しているものの、本気で同盟諸国とりわけアジアの同盟諸国を大切にするつもりは毛頭ないと見ている。それは、今回の菅首相訪米でのバイデン大統領の大失態を見れば、なおさら明らかだという。

(バイデン政権が呆れるほど無能なため今回の首脳会談で失態を演じたのかもしれないという解釈も成り立つが、この場合、そのような無能政権では外交的に百戦錬磨の中国共産党政府などと渡り合うことはとても不可能ということになる。)

バイデン政権の対中スタンス

 これまでバイデン政権が見せてきた親台湾的姿勢や、南シナ海や台湾海峡における「FONOP」(公海航行自由原則維持のための作戦)の実施などは、いずれもトランプ政権時代の余波とみなすことが妥当である。