米第7艦隊の強襲揚陸艦から離陸するオスプレイ(4月17日太平洋上で、米海軍のサイトより)

 菅義偉内閣総理大臣は4月16日(日本時間17日)、ホワイトハウスでジョセフ・バイデン米国大統領と日米首脳会談を行い、共同声明を発出した。

 共同声明の重要なポイントは、覇権主義的な動向を強める中国に、共同して対抗する姿勢を強く打ち出したことである。

 中でも「台湾海峡の平和と安定の重要性」が明記されたことは時宜を得ている。台湾海峡有事は差し迫った危機なのである。

 3月9日、米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官は、上院軍事委員会公聴会で、今後6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性があると証言した。

 23日には、次期米インド太平洋軍司令官に指名されたジョン・アキリーノ太平洋艦隊司令官は同じく公聴会で、中国による台湾侵攻の脅威は深刻であり、「大半の人が考えているよりもはるかに切迫している」と述べた。

 なぜ今、台湾海峡有事なのか。

本気の中国、他人事の日本

 これについては、拙稿「北京五輪後に台湾侵攻狙う中国、ソチ五輪後にクリミア併合の二の舞を避けよ」(3月12日掲載、https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64426)に書いたのでここでは省略する。

 いずれにしろ共同声明で「威圧の行使を含む国際秩序に合致しない中国の行動について、懸念を共有した」と中国を名指し、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」と明記した意味は大きい。

 中国は即座に反応した。

 共同声明に対し「強烈な不満と断固とした反対」を表明し、「中国の懸念に厳粛に対応し、直ちに中国内政への干渉をやめるよう求める」とする中国外務省報道官談話を発表した。

 加えて「あらゆる必要な措置を取り、国家主権、安全、発展の利益を断固として守る」と報復をも示唆している。