ラオスの中国国境の町・ボーテン(後ろ)とその将来計画のパンフレット(以下、写真はすべて2019年4月著者撮影)

 中国-ラオス国境の辺境地帯に、巨大な近代都市が生まれようとしている。誰が何のために? 2年前、実際に現地を訪れた著者が目撃した驚きの建設計画を2回にわたってお届けする。(JBpress)

 2年前の2019年4月、中国とラオスを鉄道で結ぶ「中国ラオス鉄道」建設の様子を見ようと、著者は中国との国境にあるラオスの町「ボーテン」に中国側から入った。そこでは、巨大ビル群の建設や山林の開拓工事が行われていた。ところが肝心の「鉄道」が見当たらない。著者は鉄道の建設現場を探してとにかく歩いてみることにした。

前編
中国ラオス国境に突如現れた巨大都市開発の謎
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65008

 中国ラオス鉄道は、ラオスの首都ビエンチャンと、中国国境の町ボーテンを結ぶ414kmの鉄道だ。2016年に建設が始まり、今年(2021年)中に完成が予定されている。ボーテンの先はトンネル(「友誼トンネル」)で国境を越え、中国側の町・磨憨(モーハン)からは中国の鉄道につながっている。完成すればまさしく中国とラオスを結ぶ鉄道となる。

中国との国境にあるラオスの町・ボーテン。昆明からビエンチャンまでの鉄道の通り道になっている

駅はどこだ?

 ボーテンの建物がある区画を出ると、すぐに舗装がなくなり、赤い道が開拓中の山林の真ん中を貫いている。そこを、あてもなくひたすら歩くのだ。すぐ横を、大量の土を積んだトラックや、中国とラオスを行き交うトレーラーが走り抜けていく。町を少し離れて後ろを振り返ってみると、何もない場所にそびえ立つ巨大なビル群にまた驚く。蜃気楼みたいだ。