国軍vs民兵組織の血みどろの戦い

 ミャンマー国内のゲリラ支配地域はヘロインを生産しており、世界有数のメタンフェタミン(覚醒剤の一種)供給地帯でもある。

 この国からは様々な災難も輸出されている。

 国境を超えたところにあるタイ国内の9つの難民キャンプは、カレン民族解放軍(KNLA)など民族を基盤とする反政府組織とミャンマー国軍による戦闘の犠牲者であふれている。

 2017年には、国軍主導の虐殺を逃れてバングラデシュに渡ったイスラム系少数民族「ロヒンギャ」の数が70万人を超えた。最近では輸出のリストに病気も加わった。

 中国は先月、ミャンマーから入国した3人が新型コロナウイルスの検査で陽性となったことを受けて国境の町・瑞麗を封鎖した。

 これらの問題はまだ当面、悪化する一方だろう。

 ミャンマー国軍は、抗議行動の参加者が屈服するまで攻撃するつもりでいるかに見える。デモ隊に頭や背中を撃たれる危険があると警告しており、実際に銃撃された人も少なくない。

 命を落とした人の数は、分かっているだけで700人を超えている。4月9日には国軍が古都バゴーで80人以上を銃で殺害した。

 抗議行動の参加者は間に合わせの武器で反撃している。そのなかには、国境地帯の反政府武装勢力の民兵から軍事教練を受けようとしている人もいる。

 武器が大量に出回っている国だけに、さらに多くの血が流れることになるのは確実だ。

 選挙で選ばれた議員のうち、何とか逮捕を免れている政治家たちのグループの一つは「連邦軍」の立ち上げを検討している。

 恐らく、民族を基盤とする数多くの民兵隊の一部も加わることになるだろう。最も大きな民兵隊は、対空ミサイル、大砲、装甲兵員輸送車(APC)などを備えた兵士2万人を召集できるという。

 こうした反政府組織は、仮に協力しあって行動するとしても、国軍を倒してクーデターを覆すほどの火力はない。

 だが、国軍側も数十年にわたって反政府組織の打倒を試みながら、いまだに成功していない。KNLAは国軍と1949年から戦闘を続けており、文字通り世界最長の内戦となっている。