中国・上海の高層ビル(Pixabay)

 日本経済の中国従属化が急ピッチで進んでいる。近年、日本は保守化が進んでいるとされ、中国を声高に批判する論調に溢れているが、どういうわけか中国依存を強める日本の経済界や、それを容認する政府に対する激しい批判は聞こえてこない。このまま事態が推移すれば、日本経済はなし崩し的に中国経済圏に取り込まれる可能性が高いだろう。(加谷 珪一:経済評論家)

中国が日本にとって最大の顧客に

 これまで日本は米国を最大の貿易相手国として経済を成り立たせてきた。だが、日本と中国の貿易は年々、拡大しており、すでに輸出と輸入を合わせた貿易総量で中国は米国を上回っている。そしてとうとう2020年には輸出においても中国が米国を超え、日本経済は名実共に中国が最大の取引相手となった。

 今回の貿易統計の変動はコロナ危機の影響を大きく受けているものの、米国との関係が薄れ、中国との関係が深まるという流れは、今後さらに顕著になると予想されている。

 その理由は、全世界的なサプライチェーンの縮小と、米中対立による経済のブロック化である。