(写真:AP/アフロ)

 米ウーバーテクノロジーズは4月12日、運転手への支払いなどを差し引く前の取扱高(グロスブッキング)が2021年3月に過去最高を更新したと明らかにした

 配車サービスを含む「移動サービス部門」の単月取扱高は20年3月以降の最高を記録。1日当たり平均取扱高は前月から9%増加した。配車サービスの年間ランレートは300億ドル(約3兆2900億円)を超えた。

 また、料理宅配「イーツ」など「配達サービス部門」の取扱高は2009年の創業以来、最高を記録。年間ランレートは520億ドル(約5兆7000億円)を超え、前年同月の2.5倍以上になった。

 同社は「米国ではワクチン接種が進み、移動サービスの需要回復は運転手の数を上回っている。配達サービスへの需要も配達員の数を超えている」と述べた。

 米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、新型コロナウイルスで打撃を受けたウーバーや米リフトの業績は、ワクチンの普及とともに回復の兆しを見せている。リフトも21年3月、1週間当たりの配車サービス取扱高がパンデミック前の水準に回復したと発表した。

 だが、両社の配車サービスはここに来て運転手不足という問題に直面していると同紙は報じている。新型コロナの影響で、ネットを通じて単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」は、多くが食料品などの他業種に流れて行ったという。

 ウーバーは先ごろ、人員を確保するために2億5000万ドル(約270億円)の費用を投じると発表した。運転手への特別賞与や報酬保障、新人募集などに使うとしている。

「ウーバーの運転手は労働者、請負業者にあらず」

 だが、運転手を巡っては、コストの増大が懸念されている。ウーバーは4月12日、米証券取引委員会に提出した臨時報告書(FORM8-K)で、21年1~3月期は多額の費用が発生する見通しと報告した。

 元運転手らが英国でウーバーを訴えていた裁判で、英最高裁は運転手を「労働者」と認める判決を下した。元運転手らは待遇改善を求めて提訴し、16年に下級審で勝訴した。ウーバーは「運転手らは自営の請負業者であり、当社の役割は乗客と運転手をアプリを介してつなげる仲介者」と主張し上訴したが、英最高裁判事は2月19日、全会一致で下級審の判断を支持した。

 これを受け、同社は3月16日に、英国内で配車サービスに携わる運転手を労働者として扱うと発表。同17日付で同国で働く約7万人の運転手を英国雇用法に基づく労働者に区分し、最低賃金を保障し、休暇手当や年金への加入機会も与えた。