南シナ海 南沙諸島のセカンド・トーマス礁でフィリピン海軍が座礁させた揚陸艦。フィリピン海兵隊員を配置して実効支配の状況をアピールしている(出所:フィリピン海軍)

(北村 淳:軍事社会学者)

 3週間前の本コラム(「中国船220隻が集結、8つ目の人工島を建設か?」)において、220隻以上の中国海上民兵船団が南シナ海・南沙諸島のウィットサン礁周辺海域に展開している状況を紹介した。

 フィリピン政府は同海域をフィリピンの排他的経済水域としている。そのため、中国の動きは、ウィットサン礁が属するユニオン堆を巡って中国と軍事衝突までしたベトナムに対してだけでなく、フィリピンに対しても強硬な姿勢を示していることになる。

 中国の覇権的行動はそれだけにとどまらない。海上民兵船団に加えて、フィリピンをはじめとする南沙諸島紛争当事国に対して、より露骨に軍事的恫喝を行う状況が確認されている。

要塞化が進んだ中国の人工島群

 南沙諸島の7つの環礁(スービ礁、ガベン礁、ヒューズ礁、ミスチーフ礁、ファイアリークロス礁、ジョンソンサウス礁、クアテロン礁)が中国によって人工島化されてからすでに5年近く経過した。今やそれらの人工島群は中国軍の前進海洋基地群といえるほどに要塞化が進んでいる。