中華人民共和国建国70周年記念の軍事パレードで初公開された極超音速滑空ミサイル「DF-17」(資料写真、2019年10月1日、写真:AP/アフロ)

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 菅義偉首相の訪米によるバイデン大統領との日米首脳会談では、中国の膨張に対する日米共同の防衛態勢強化が主要議題になるとみられる。日本周辺で中国の軍事的脅威が深刻さを増すなか、米国議会が超党派で、中国の圧倒的な物量のミサイルに対抗する中距離ミサイルの開発・配備を日本に期待していることが明らかとなった。

日本の中距離ミサイル開発を米国が支援

 米国側の日本に対するこの期待は、4月8日に米国議会上院に提出された「2021年戦略的競争法案」のなかで明記された。

 法案を提出したのは、上院外交委員会の委員長、ロバート・メネンデス議員(民主党)と同委員会の筆頭メンバー、ジム・リシュ議員(共和党)である。2人による共同提出だが、主導したのは民主党のメネンデス議員であるため、同じ民主党のバイデン政権の意向も広範に盛り込んでいるとされる。

 第1次草案でも合計280ページ以上に及ぶ同法案は、中国を米国の中期、長期の最大の競合相手と位置づけ、インド太平洋地域で、日本やインドといった同盟国、友好国と連帯して中国の無法な膨張や活動を抑止するための包括的政策の採択を米国政府に求めている。