(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年4月6日付)

安保理の常任理事国5か国のうち4か国が白人中心の国で占められている事実はこの先も変わりそうにない

 白人の特権、制度的人種差別、無意識の偏見、アイデンティティー政治――。

 米国と英国では、こうした用語が政治の議論で通用するようになっている。

 しかし、人種は単なる国内問題ではない。世界の権力構造が変わりつつあるこの時代、人種的平等をめぐる論争は地政学的な闘いの一部にもなりつつある。

 購買力平価ベースの国内総生産(GDP)でランキングすると、経済規模が世界で最も大きな国は中国で、米国、インド、日本、ドイツがこれに続く。

 だが、世界で最も重要な政治機構は今日でも、1945年当時の政治経済のパワーバランスを反映している。国連安全保障理事会で拒否権を有する常任理事国は米国、ロシア、中国、英国、フランスの5カ国だ。

 これら5カ国のうち4カ国が、人口の大部分を白人が占める国であるという事実は、帝国主義の時代から引き継がれた「白人の特権」の国際的な形態を反映していると言えるだろう。

 世界の人口が約76億人で、そのうちのざっと58億人がアジアとアフリカに住んでいること考えれば、この仕組みは持続不可能に見える。

 しかし、特権を持つ常任理事国5カ国の一角に中国が名を連ねている。そしてそのことが、本当は改革を求めたい中国に歯止めをかける。

 何しろ、インドや日本が国連安保理の常任理事国になるという考えは、中国政府にとってはあまり歓迎できるものではない。

 また、ナイジェリアと南アフリカ、あるいはメキシコとブラジルなどに見られる地域的なライバル関係も、国連改革の機運の盛り上がりを鈍らせる一因になっている。