(英エコノミスト誌 2021年4月3日号)

日米関係はいつになく良好で、日本が主導権を発揮する場面が多くなっている。
米国の新大統領は、文字通りの隣国であるカナダとメキシコに惜しみなく気を遣うのが通例だ。だがジョー・バイデン氏が就任して以来、はるかに遠い国が注目を独り占めしている。
日本がそれだ。
バイデン氏が初めてホスト役を務めた首脳会談――米国、オーストラリア、インド、日本の4カ国による通称「クアッド」のバーチャル会議――の画面では、日本の菅義偉首相がバイデン氏に最も近いところに映し出された。
米国の国務長官と国防長官が初めての外国訪問の目的地に選んだのも日本だった。
そして4月には、菅首相がホワイトハウスにバイデン氏を訪ねる最初の外国指導者になると見られている。
オバマ、トランプ時代から様変わり
「こんなこと、20年前にはとても想像できなかった」
菅氏の外交アドバイザーを務める宮家邦彦氏はこう語る。この親密ぶりは、中国が日米に突きつけている脅威が非常に大きいことのみならず、その脅威に対処するうえで日米同盟が非常に重要であることを示している。
日本人の目からすると、バラク・オバマ元大統領は上記の1点目をなかなか理解せず、ドナルド・トランプ前大統領は2点目を決して受け入れなかった。
ところが、日本の政府当局者にとって嬉しいことに、バイデン大統領はその両方に賛同しているように思える。
日米両国はすでに、もう数十年続いている米軍の日本駐留について新しい合意に至っている。トランプ氏が大統領在任中に米軍駐留経費の負担増を日本に要求してから、交渉が止まっていた問題だ。
そして東京での会談の後、日米の閣僚4人は異例なほどあからさまに中国を非難し、バイデン氏は中国により柔和なスタンスで臨むのではないかという日本側の不安を和らげた。