文在寅大統領(写真:ロイター/アフロ)

(武藤 正敏:元在韓国特命全権大使)

 文在寅政権は不動産政策の失敗で守勢に回され、支持率は過去最低の34.1%を記録した。一方で、不支持は62.2%と過去最高となり、その格差28.1%は過去最大の幅となった。

 しかも4月7日に市長選挙が行われるソウルと釜山では野党支持が大幅に上回っている。その主たる要因は文在寅政権による不動産政策の失敗と政権幹部及び公務員等の土地投機による不当利得である。

文政権では住宅価格高騰は抑えられない

 文政権は、これまでに24回の不動産政策を打ち出してきた。

 しかし、これまでの政策はいずれも効果がなかった。その理由は、不動産にかかわる税金を引き上げることで不動産の需要を抑制する政策に偏っており、供給を増やす政策を行っていないからだと批判されてきた。そのため25回目となる今年2月の新政策は、公共機関による再開発事業によって、供給の拡大を図るというものになった。しかし、その政策も効果は薄いだろう。

 3月2日、「民主社会のための弁護士会」(民弁)と参与連帯という、文在寅氏の支援組織が記者会見を開き、韓国土地住宅供給公社(LH)職員による土地投機疑惑を告発した。まさに文在寅政権が取り入れた供給拡大政策が新たな土地投機と結びついたのである。

(参考記事)自殺者続出、不正土地取引疑惑が文在寅周辺に飛び火
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64482