2021年1月15日、北朝鮮が軍事パレードを実施、その様子をソウルの大型テレビで観る女性(写真:AP/アフロ)

 北朝鮮は、2020年10月と2021年1月の軍事パレードに登場させたミサイルの実験を開始した。

 新たなミサイルの開発と米国のジョー・バイデン政権との交渉を有利にするために、再び、米韓日の危機感を煽ろうとしているようだ。

 3月25日朝、2発のミサイルを東部の咸州(ハムジュ)付近から発射した。パレードに登場した新たなミサイルのうち、米国に影響が少ない短距離弾道ミサイル(以後、短距離ミサイル)の実験から開始した模様だ。

 飛翔距離については、日本政府と韓国合同参謀本部とは、若干の誤差があるものの420~450キロであり、高度は約60キロであった。

新型ミサイル(左:2021年1月パレードに登場 右:3月25日発射)

 北朝鮮労働新聞によれば、「日本海上の600キロの目標まで飛翔した。この弾頭重量は2.5トン、改良型の個体燃料という。低高度滑空跳躍型飛行方式の変則的な軌道特性も再確証した」という。

「我々の軍事力強化と朝鮮半島に存在する各種の軍事的脅威を抑制することに大きな意義を持つ」と評価した。

 以下、①新型ミサイルの性能評価、②ミサイルの作戦戦術上の狙い、③北の対米交渉の狙いと今後の予測について、考察する。