太平洋上で強襲揚陸艦から離陸するオスプレイ(3月21日、米海軍のサイトより)

 北朝鮮(以後、北)の金与正党中央委副部長は、米韓合同軍事演習(以下、米韓演習)について、「韓国が3月8日から、わが共和国を狙った侵略的な戦争演習を強行した」ことを激しく批判した。

 さらに、金与正氏は「韓国が、今回の演習が定例で防御的なものであり、実働ではなく、規模と内容を大幅に縮小したシミュレーション方式の指揮所訓練だ」と宣伝した。

 だが、金与正氏は、「その形式があれこれ変えられようが、同族を狙った侵略戦争演習だという本質と性格は変わらないので止めよ」と付け加えた。

 崔善姫第1外務次官は、「米軍は密かに軍事的威嚇を加え続け、大量の偵察機などを動員して偵察行為を敢行しており、わが方を狙った侵略的な合同軍事演習を堂々と繰り広げた」と批判した。

 また、「米国は最近、わが方との接触を要請してきたが、米国の対朝鮮敵視政策が撤回されない限り、いかなる朝米接触・対話も実現しない」という立場を明らかにしている。

 さらに、「米国が敵視政策を継続するのであれば、わが方が何をするかをよく考えてみるのがいい」と忠告した。

 北では、この2人がいつも急先鋒に立って米国をきつく非難する。彼女らは、米国を非難する役割のようだ。

 自国の軍事力増強を棚に上げて、米韓演習を行う韓国を激しく非難している。これは、非条理なことだ。

 北が非条理なことをあえて発言するのは、そこに必要性があるからだ。

 この理由について、①米韓演習により受ける恐怖感が過去と今でどう違うのか②どのような狙いで非難しているのかの2点について考察する。