フィリピンのデルフィン・ロレンザーナ国防相(資料写真、2019年7月11日、写真:AP/アフロ)

(北村 淳:軍事社会学者)

 フィリピン政府は、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内の環礁周辺海域に中国船220隻が集結している状況を国際社会に向けて発表し、ロレンザーナ国防相が中国側にただちに撤退するよう求めた。

 フィリピン当局によると、蝟集(いしゅう)している中国船は漁業活動などは行っておらず、船の特徴などから明らかに武装海上民兵の船であるという。

南シナ海のウィットサン礁海域に集結している中国船(写真:フィリピン政府・西フィリピン海国家機動部隊)

各国が領有権を主張するユニオン堆

 多数の中国海上民兵船が集結しているのは、南シナ海・南沙諸島を形成するユニオン堆(たい)と呼ばれている環礁群の中で最も大きい環礁(満潮時は水没する暗礁)のウィットサン礁である。この環礁はフィリピン沿岸から200海里以内に位置しており、フィリピン政府によるとフィリピンの排他的経済水域内ということになる。

ウィットサン礁の位置
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