アップル ロゴ イメージ(写真:ロイター/アフロ)

 米CNBCは3月19日、米アップルがまもなく「iPhone」などのモバイルOSに導入する新ルールによって、同社アプリ配信サービス「App Store」の“独占力”が増大すると報じた。

アップルによる市場操作容易に

 アップルは数週間のうちにアプリの広告制限を実施する予定。ターゲティング広告の配信時に必要となる端末固有の広告用識別子「IDFA(Identifier for Advertisers)」をアプリが取得する際、ポップアップ画面を出し利用者に許可を求めることを義務付ける。この同意オプションはこれまで、設定画面で一括して行っていた。今後は利用者がアプリを開く際、初回時に可否を利用者に尋ねる必要があるという。このルールが導入されれば、多くの利用者が識別子の提供を拒否すると予想される。

 アップルは「新ルールの導入はプライバシー保護が目的だ」としている。だが、同社にとって有益な副産物も生まれると専門家は話している。

 専門家は、今後アプリ内広告を通じたアプリのダウンロードが減少するとみている。一方、アップルは自社の利益拡大に都合のよいアプリを画面上位に並べることが可能で、どのアプリを多くダウンロードさせるかを自在にコントロールできるようになるという。例えば収益性の高いサブスクリプション(定期購読)型のゲームアプリを「お薦め」に掲載してダウンロードを増やすことが可能だという。

App Store内検索広告の収益向上も

 またアップルは、App Store内検索広告による収入も増やすことができると専門家は指摘している。

 アップルはApp Store内アプリ検索広告を「サービス」事業に分類している。サービス事業の2021会計年度第1四半期(20年10~12月期)売上高は前年同期比24%増の157億6100万ドル(約1兆7100億円)で、四半期として過去最高を更新した(独スタティスタのインフォグラフィックス)。同社はこの部門を成長の原動力と位置付け、事業拡大に力を入れている。