(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年3月19日付)

ジョー・バイデン大統領は運に恵まれているのかもしれない(写真はホワイトハウス)

 政権発足100日間で1億回のワクチン接種を行うとの公約を、米国のジョー・バイデン大統領は約50日で実現させた。

 何のことはない。目標をあえて低く設定して超過達成するという、古くて単純なトリックだ。とはいえ、ドナルド・トランプ氏が正反対のことを4年間やってきた後だけに、妙に斬新に感じられる。

 同じことが総額1兆9000億ドルの経済対策パッケージにも当てはまる。

 すでに受け取っているではないかとトランプ氏が中間層に言い続けた金融支援を、バイデン氏は1本の法案で提供した。

 ひょっとしたら米国は、政治がエンターテインメント業界の一部門だった時代が終わったと期待するようになるのだろうか。

運に恵まれ100年に1度の大チャンス

 物事はすべて、悪い方向に転がることがありうるし、実際そうなるだろう。その皮切りなのか、米国の南の国境付近では移住希望者が急増している。

 しかし、バイデン氏にはカギになる強みが3つある。そのうち最も重要なのは、ナポレオン・ボナパルトが配下の元帥や将軍たちに求めたもの、すなわち「運の強さ」だ。

 新しい仕事で成功する一番良い方法は、成績の悪い前任者の後を継ぐことだ。バイデン氏はこれに加えて、収束させる準備が整ったタイミングでパンデミックも引き継いでいる。

 トランプ氏の大統領としての最大の功績は、「ワープ・スピード作戦」に予算をつけたことだった。

 バイデン氏は米国のワクチンが導入される時、そして感染がピークを迎えつつあるまさにその時に大統領に就任した。

 おかげで、公共サービスの力を見せつける100年に1度の大チャンスをつかむことができた。

 もし今年の夏までにウイルスが米国から消滅すれば、その後に訪れる好景気によって、以前なら考えられなかったようなことを軒並み実行できる踏切板を手に入れる。