「竹島の日」の前に「独島の歌」を歌う子供たち(写真:Yonhap/アフロ)

 長年「反日教育」を進める韓国だが、韓国で反日が醸成されるようになった背景の一つに反日エロ映画の存在がある。反日教育の中で育ち、非論理的な反日に疑問を持った韓国人著者による「いかにして反日が生み出されたか」の第1回。(敬称略)

(石 光源:韓国人ライター)

 韓国の作家、イ・ドンチョルのベストセラー小説「コバン村の人々」には、日本人相手に体を売って生きる女性と、彼女を愛しながらも生活力がなく情夫として生きる男性が登場する。この小説の背景は1970年代のソウルのスラム街にあるバラック村で、青少年期の憂鬱で悲観的だった私が少なからぬ影響を受けた本である。

 1964年の韓国は反日スローガンの下、カオスの状態にあった。1964年6月3日、大規模な韓日協商に対して反対運動が起こり、韓国政府が戒厳令を宣布したからだ。これは「六三示威」と呼ばれている。

 この当時の韓国は発作的に反日を叫んでいたが、日本人の買春観光客は外貨の供給源であると同時に、多くの韓国人が日本に不法滞在する状況が数十年間続いていた。反日を叫びながらの日本を頼るこの不可解な行動のルーツはどこにあるのだろうか。

 2020年、ある会合で韓国史を教える著名な大学教授が、90年代初めに放送されたMBCドラマ「黎明の瞳」が韓国の反日感情形成に軽視できない役割を果たしたと話した。

「黎明の瞳」は1975年に韓国の「日刊スポーツ」に連載された人気ドラマである。韓国の作家、キム・ソンジョンの推理小説を脚色して放送された。インターネットが商用化される前の90年代初めまで、週刊誌の「サンデーソウル」と日刊紙の「日刊スポーツ」が成人向け娯楽の主な提供元だった。

 この小説は、1975年の連載当時、過度な性的描写が非難を浴びて是正命令が下された。1991年に放送されたドラマも女優の露出が多く、視聴者からたくさんの抗議が来た。ドラマの展開に必要ないと思えるほど、主演女優であるチェ・シラの全裸シーンが多く、「ここまで地上波で可能なのか」という驚きが隠せなかったほどだ。

 もっとも、それまで公共放送で見られなかった過激な露出シーンへの批判は「反日」というテーマで消された。当時、反日を標榜すれば、性的描写に対する国家機関の審議をある程度避けることができたのだ。その結果、1970年代から反日と性描写が結合した大衆文化作品が供給されるようになった。