自由で開かれたインド太平洋を守るため警備活動に従事している米ミサイル駆逐艦「ジョン・フィン」(3月1日、太平洋上にて、米海軍のサイトより)

 中国は海警法を制定し今年の2月1日施行した。海警法によると、中国がいう「管轄海域」で、外国船に対し武器を使用できるようになった。

 注目すべき点は、海警が法執行のみならず「軍事作戦」を遂行できるようになったことだ。

 2018年7月、中国の習近平国家主席は海警局強化を指示し、海警局は武装警察部隊(以下「武警」)に編入された。

 武警は同年1月、既に人民解放軍と同じ中央軍事委員会直属となっている。これにより海警は中国海軍と一体化した。

 海警局のトップも海軍出身である。中央軍事委員会の命令一下、海警は海軍と共に「軍事作戦」を遂行できる「第2の海軍」になったのだ。

 今年1月1日には、改正「国防法」が施行された。主権や領土の保全に加えて、海外権益などを軍事力で守る方針を明記しており、共産党への忠誠を義務化して軍民の総動員を確実にした。

 これらの法整備は、もちろん台湾の武力統一が念頭にある。台湾有事があれば、日本に戦火が及ぶのは避けられない。他人事ではない。

 我々は中国の台湾侵攻について「まさか」と捉えるのではなく、「もしかして」と捉え、最悪を想定して準備をしておく必要がある。

 戦争準備が抑止力となる。

 習近平国家主席は2013年3月に就任以来、「中華民族の偉大な復興」という壮大な目標を掲げてきており、その最大課題は台湾の統一である。

 習近平主席には野望がある。彼は「毛沢東チルドレン」と言われるように、彼の野望は第2の「毛沢東」になることだ。