日産の新型「ノート」。首都高速大黒パーキングエリアにて(筆者撮影、以下同)

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 日産の第2世代「e-POWER」を搭載した新型「ノート」に公道で試乗した。加えて、日産の開発担当者と第2世代e-POWERに関してオンラインで意見交換を行うことで、日産の電動化戦略の実態が見えてきた。

 まず、日産の事業戦略全体を確認すると、内田誠CEOは2020年5月28日、2023年度までの4カ年の中期経営計画「NISSAN NEXT」を公表している。この中で、年間100万台以上の電動化技術搭載車の販売を目指すとしており、EVでは「リーフ」に次いでクロスオーバーモデルの「アリア」を2021年半ばに発売する。e-POWERについても日本市場で搭載車を4車種追加するとしている。

3代目ノートは全車がハイブリッドに

 e-POWERとは、日産が独自にネーミングした「シリーズ(直列)ハイブリッド」のことである。エンジンを発電機として使い、搭載するバッテリーに蓄電してからモーターを駆動させる電動化システムだ。ただしe-POWER開発者は「走行状況によってはバッテリーを介さずにモーター駆動する場合もある」と説明している。

 日産がe-POWERを初めて採用したのは、2016年のノート商品改良の際だった。結果的に、e-POWERはハイブリッド車の主流であるトヨタ車に大きな影響を与え、ノートの直接的なライバルであるトヨタ「アクア」や、車格としてはひとつ上になる「プリウス」を凌ぎ、2018年には日産史上初となる登録車市場の年間販売台数第1位となった。