五輪相に就任しま丸川議員と小池東京都知事(写真:つのだよしお/アフロ)

 森喜朗会長が女性蔑視発言を理由に東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の会長を辞任した後、五輪相の橋本聖子議員が後任となり、橋本五輪相の後任は丸川珠代元五輪相となった。二つのポストが女性になったことは良いことだが、様々な批判や不満が渦巻き続ける印象で、内外メディアとも報道の切れ味が悪い。

 その理由は、(1)森会長が今後も民間人として協力すると語ったこと、(2)橋本氏が清和会(旧森派)の議員で、今は自民党を離党したものの、五輪後には復帰する可能性が否定できないこと、(3)選ばれる五輪相がいつも日本の有力男性陣に顔が利く同じ女性であること(政治家においては顕著であるが、広く日本全国から選んでいるという印象がない)、の3つに集約されるようだ。

 OECD諸国において、舌禍事件やジェンダー問題で退任するというのは日本以外にはあまりないため、他国の例を参考とすることは難しい。また、問題の根っこには、コロナ禍対応と東京五輪を実行するかどうかで世論から離れた意思を発信し続ける東京オリ・パラ委員会と、その背後にある日本政府に対する不満もあると感じる。

 本稿では、森会長の女性蔑視発言とコロナ禍での東京オリ・パラ委員会の言動には科学的合理性と社会的合理性を持たないという点で類似性があることを明確にし、森前会長は完全に東京オリ・パラ委員会から去った方が良いと考えられる理由とともに、日本では女性一般に日が当たらない実態について論じてみたい。