東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長に名前が挙げられている橋本聖子五輪相(写真:ロイター/アフロ)

 進むも地獄、退くも地獄――。この迷走人事は抜け出すことのできない“負のスパイラル”にハマり込んでしまったようだ。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会は17日、辞任を表明した森喜朗会長の後任を選出するための「候補者検討委員会」の第2回会合を都内で開催した。約1時間半の議論の末に御手洗冨士夫名誉会長や日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長ら検討委員8人が具体名を挙げて協議し、夏冬7度の大会出場を誇る橋本聖子五輪相に就任を要請することを決めた。

 しかしながら、かねて橋本氏は会長就任に難色を示していることから説得に難航。18日に第3回の会合を開くことを余儀なくされたが、ここで受諾するかどうかは現時点で不透明な状況となっている。

組織委会長を受諾すれば五輪相ばかりか議員も辞職することに

 明らかに異常な状況を示していた。17日の夕方5時を回った頃、組織委から発表されたリリースは新会長承認の場となる理事会開催の通知ではなく、選考の延長を意味する第3回会合の実施を知らせる内容だった。組織委関係者の話を総合すると「橋本さんは一貫して強い態度のまま固辞する姿勢を変えていない」とのことで、会合の進行は足踏み状態になっていたという。

 橋本氏が難色を示すのも無理はない。仮に組織委の新会長就任を受諾する場合、国務大臣規範では「兼職禁止」と定められており、五輪相を辞職する必要性に迫られる。しかも組織委会長の座に就けば、中立の立場であることが絶対条件となる役職だけに自民党に留まることは困難となり、自主的に離党しなければならない。参院議員も辞職するハメになるだろう。

 女性蔑視発言で辞任に追い込まれた森前会長、そして「森氏の相談役就任プラン」など自らのフライング提言や前任者との密通が露呈したことによって後任有力候補から一転して白紙となってしまった川淵三郎氏らの尻拭いをさせられるため、これまで築き上げてきた「大臣のポスト」と「自民党参院議員」の肩書きを手放すことになるのだから、内心たまったものではないはずだ。