ミャンマーのヤンゴンにある中国大使館の前でクーデターに抗議するデモ隊。中国がミャンマーの軍を支援していると非難するプラカードを掲げている。(2021年2月11日、写真:AP/アフロ)

(川島 博之:ベトナム・ビングループ、Martial Research & Management 主席経済顧問)

 ミャンマー・ヤンゴンの中国大使館の前で数百人のデモ隊が「ミャンマーを支持せよ。独裁者を支持するな」と中国語と英語で書かれたプラカードを掲げて抗議活動を行ったというニュースが報じられた(2021年2月11日、ロイター)。

 多くのミャンマー人が、今回のクーデターに中国が関わっていると思っている。ミャンマー人だけではない。世界の多くの国が中国の関与を疑っている。

 米中対立が激化する中、中国にとってミャンマーの重要性が増している。それはミャンマーに石油パイプラインを造れば、マラッカ海峡や南シナ海が封鎖されても、中東からタンカーで運ばれた石油をミャンマーで陸揚げして中国に運び入れることができるからだ。

ミャンマー経済を牛耳る華僑

 米国のバイデン政権はクーデターを非難したものの、それほど強い制裁を課さなかった。強く制裁すると、ミャンマーを中国側に追いやってしまうと考えたからだ。

 しかし、日本では意外に知られていないがミャンマーは親中国ではない。ミャンマーの人々は中国を恐れるとともに嫌っている。