(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年2月10日付)

いまは何よりも新型コロナウイルス感染症ワクチンの生産を急ぐ必要がある

 世界経済はコロナ危機のどん底から回復を遂げつつある。

 だが、パンデミックが制御されるまで、この危機は完全には去らない。ウイルスは国境を知らないため、すべての場所で制御されるまで、どんな場所でも制御されない。

 別の道は、我々がいつまでも、国という監獄の中にとどまることだ。

 悲しいかな、指導者が自分の国だけに向けている視線を上げなければ、まさにそうなる恐れがある。

 国際通貨基金(IMF)は1月に改定した「世界経済見通し(WEO)」で、今年の世界経済の成長率を5.5%、2022年の成長率を4.2%と予想した。

 さらに、「2021年予想は前回予想と比べ0.3ポイント上方修正された」。2020年の世界経済の縮小も、従来予想よりマイナス幅が0.9ポイント小さかったと考えられている。

 それでも、あれは第2次世界大戦以来最悪の景気後退で、特に女性、若者、貧困層、非公式に雇われている人、そして対人接触の多い業界で働く人に破滅的な影響を及ぼした。

行く手に待ち受ける「失望の10年」

 パンデミック以前の期待値と比較した経済の落ち込みは大きく、永遠に取り返せない公算が大きい。こうした損失は、一種の「長い経済的COVID(新型コロナウイルス感染症)」になるだろう。

 世界銀行の「世界経済見通し(GEP)」が指摘しているように、これは部分的には、パンデミックが投資と人的資本に及ぼしたダメージの影響だ。

 だが、既存の経済的な弱さが、特に債務急増などの脆弱性の増加と重なった結果でもある。GEPのある章は、「失望の10年に向かう」と題されている。これは妥当かつ不穏な展望だ。

 経済と社会に及ぶ長期的ダメージを限定するための前提条件は、ウイルスを制御することだ。その時になって初めて、我々は普通の生活に戻ることを期待できる。

 実際、第2次世界大戦以来、国家の自治の限界をこれほどはっきり浮き彫りにした出来事はなかった。

 全米経済研究所(NBER)が最近発表した論文は、たとえ先進国が国内で全国民のワクチン接種を達成したとしても、「パンデミックによる2021年の世界的経済コストの最大49%」を先進国経済が負うことになると論じている。

 これは、各国を結びつけている生産と貿易のネットワークのためだ。どんな経済国も島ではない。