(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年2月3日付)

世界と密接な関係を作ってしまった中国を封じ込めることは難しい(写真は万里の長城)

 台頭する中国に米国はどのように対応するべきなのか――。

 これは、米国の新政権が直面している最も重要な問題の一つだ。一種の封じ込めがうまくいくのではないか、と論じる米国人は少なくない。

 実際、この見方は、ジョー・バイデン大統領の政権と前任者の意見が概して一致する数少ない点の一つでもある。

 また、政治的な利点を見て取る向きもある。

 共通の敵がいれば分断された国が統一できるかもしれない、というわけだ。しかし、本当にそれでうまくいくのだろうか。筆者には、そうは思えない。

脅威は中国の専制国家

 クライド・プレストウィッツ氏の近著『The World Turned Upside Down: America, China, and the Struggle for Global Leadership(逆さまになった世界:米国、中国、そして世界のリーダーシップをめぐる争い)』には、米中関係は本質的にゼロサムだという上記のような見方が示されている。

 同氏は「中国の国民と米国の国民との間に対立はない」と語り、批判の矛先は中国共産党に向けられている。

 また、匿名の「元政府高官」が執筆したとされる論文「The Longer Telegram: Toward A New American China Strategy(もっと長い電報:米国の新しい対中国戦略に向けて)」にも同様な見方が影響している。

(このタイトルは、ジョージ・ケナンが1946年2月に発信し、旧ソビエト連邦の封じ込めを提案したことで知られる「The Long Telegram」にちなんでいる)

 ここにも次のような記述がある。

「米国が21世紀に直面している唯一最大の難題は、習近平国家主席の下でますます権威主義的になっている中国の台頭にほかならない」

 難題は中国そのものではなく、その専制国家だというのだ。