金融緩和を背景とした建設ラッシュで高層ビルが立ち並ぶ釜山も、北朝鮮のミサイル攻撃で火の海になる危険性が高い

 北朝鮮(以下、北と表記)は、表向き「韓国を武力占領して統一する」とは、発言していない。

 だが現在、開発、生産し、パレードに登場させている兵器や実験している兵器を分析すると、「韓国を武力で占領する」という意図が明らかに見える。

 特に、短距離弾道ミサイル実験、2020年10月と2021年1月の軍事パレードに登場した多種短距離ミサイルの増強ぶりや新型地上軍兵器の登場をみれば顕著だ。

 今まで北は、軍事力発展のために、経済発展、食糧自給など、あらゆるものを犠牲にしてきた。

 例えば、1994~1995年頃に飢えで数百万人が死亡した時でさえも、人民に食料を与えず、ミサイルや核開発を優先させてきた。

 人民の命よりも、米国からの攻撃に備えること、韓国を占領して統一することが、金一族の念願だからだ。

 飢えて死亡する人民の命よりも、兵器を生産することが勝っているのは、兵器の生産と増強に、金一族の政権を守るという強い意思が込められているからだ。

 この一族が韓国を征服する強い願望を持っていることが分かる。

 北の各種短距離ミサイルの能力は、最も長いものでも、射程が最大約600キロであり、これらのミサイルを総合的に運用すれば、韓国全土のどこにでも打ち込むことができる。

 これは、韓国全土だけを同時打撃ができるものであり、日本やグアムまで飛翔するものではなかった*1

*1=北の短距離ミサイルを使って韓国全土を同時に打撃できる戦法は、JBpress『釜山まで一気に侵攻、金正恩が描くシナリオ全貌』(2020年12月28日、https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63425)のとおりである。

 今回のパレードに登場したミサイルは、全長が長くなっていた。

 射程を600キロ以上に延伸させるのか。韓国全土を制圧できるミサイルの実験はすべて成功させた。

 それなのに、今、射程を延伸させるミサイルを開発する必要があるのかという疑問が生じた。そこで、「新型ミサイルの狙い」を改めて分析することにした。