(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年1月27日付)

米国が世界を代表する民主主義国でいられるのか――。バイデン政権の責任は重い

 ジョー・バイデン大統領は成功するだろうか。

 米国内外の多くの人々と同様、筆者も切に成功を願っている。だが、まずは、この「成功」がどういう意味なのか確認し、同意しておかねばならない。

 ここで言う「成功」は、何にもまして米国の政治の秩序の回復を意味している。そのためには、共和党の現在の方向性を政治的に維持不可能なものにする必要がある。

 そうしなければ、米国が国内の民主的安定性と世界における指導的な役割を回復する希望は、水泡に帰するかもしれない。

トランプ時代に失われた信頼感と敬意

 バイデン氏は1月20日、「米国の殺戮」についてわめき散らした前任者とは大違いの、人々の気持ちを明るくする就任演説を行い、次のように明言した。

「私たちは改めて、民主主義が貴重であることを学んだ。民主主義は脆いものだ。そして今この時は、民主主義が勝利を収めた」

 すべての点において、バイデン氏は正しい。

 ただ、「今この時」は永遠ではない。ドナルド・トランプ氏を権力の座に押し上げた勢力はまだ消滅していない。

 ポピュリズム(大衆迎合主義)の専門家でプリンストン大学に籍を置くヤン・ヴェルナー・ミュラー氏が論じているように、「トランプより賢いポピュリストたちが、法律や憲法に反しない謀略によって民主主義をゆっくりと窒息させている」。

 トランプ氏は去ったかもしれないが、トランピズムは去っていない。

 インドの著述家カピル・コミレッディ氏が指摘したように、巨大な企業体と偏狭な考えの持ち主によるタッグは強力だ。

 米国の富裕層は確かに大きな利益を得ている。