(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年1月20日付)

ドナルド・トランプ氏はホワイトハウスを去った。しかし彼が米国の民主主義に残した爪痕はあまりに深い

 起きたことは、以下の通りだ。

 米国のドナルド・トランプ大統領は何カ月もの間、何の裏付けもなく、公正な選挙で自分が負けるはずはないと断言していた。

 案の定、敗北すると不正な選挙のせいにした。この主張には今でも、共和党支持者が5人に4人の割合で同意している。

 大統領は、選挙結果を覆すよう各州の当局者に圧力をかけた。

 これに失敗すると、今度は各州から送られてきた大統領選挙人の投票結果に目をつけ、副大統領と連邦議会議員を脅してこれらを却下させようとした。

 さらには、その求めに従うよう議会に圧力をかけるために、議事堂を襲撃するよう扇動した。

 その結果、約147人の連邦議会議員(うち8人は上院議員)が、州から提出された投票結果を却下することに賛成した。

「大嘘」が反乱に発展

 端的に言えば、トランプ氏はクーデターを企てた。

 もっと悪いことに、共和党支持者の大多数は、こうした行動を取ったトランプ氏の理屈を受け入れている。ものすごい数の連邦議会議員が同調した。

 クーデターが失敗したのは、裁判所が証拠のない訴えを棄却し、各州の当局者がきちんと務めを果たしたからだ。

 だが、歴代の国防長官10人は、選挙に関与しないよう米軍に警告する必要性を感じた。

 筆者は2016年3月、トランプ氏が共和党大統領候補に指名される前から、この人物は重大な脅威になると論じていた。

 トランプ氏が、偉大な共和政国家の指導者に求められる資質を全く持ち合わせていないことは明らかだった。