アマゾン ロゴ(写真:ロイター/アフロ)

 米アマゾン・ドット・コムが米国外で運営する一部のサイトを米通商代表部(USTR)が「悪質市場」リストに加えたと、米CNBCが1月15日に報じた。

 USTRは毎年、偽ブランドなどの偽造品や海賊版などを販売、あるいは販売を手助けしている市場(インターネットサイトや世界各地の取引市場)を指定して公表している。USTRは同14日にその2020年版を公表し、この中でアマゾンの英国やドイツ、スペイン、フランス、イタリアのサイトを指定した。

 これに対しアマゾンは「偽造品撲滅の取り組みを強化しており、他のどの企業よりも成果を出している」と反論している。広報担当者は「当社に対する報復が続いている。政権末期の数日間の捨て鉢の行動に他ならない」と述べたという。

トランプ氏とアマゾンCEOの確執

 この声明の背景には、トランプ氏とアマゾンのジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)の確執があると、CNBCは報じている。トランプ大統領はこの4年間、ベゾスCEOとアマゾンを繰り返し口撃してきた。同氏がオーナーの米ワシントン・ポスト紙がトランプ政権に不都合な報道をしたことも非難していたという。

 一方、アマゾンは米国防総省の大規模クラウド事業の入札結果を巡って米政府を提訴している。これは「JEDI」と呼ぶ同省のITシステム近代化計画に関するクラウドサービス契約で、その規模は最大で100億ドル。米マイクロソフト(MS)が19年10月に受注したが、アマゾンは「評価過程に組織的な偏見や不誠実、トランプ大統領の不当な威圧があった。契約を無効にすべきだ」と主張している。