日本の領海やEEZを守る海上保安庁(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(Alex Lee:韓国ジャーナリスト)

 1月11日、海上保安庁の測量船「昭洋(3000t級)」が長崎・五島列島南西の女島の西方約140キロの海上で海洋調査を行なっていたところ、韓国海洋警察の警備艦が接近し、「韓国の海域だ」として調査の中止を要求した。「昭洋」が調査活動を行なっていた海域は済州道西帰浦(チェジュド・ソギポ)から129kmの距離にあり、日本と韓国の双方が自国の排他的経済水域(EEZ)だと主張している。

 1月11日午前3時25分頃、昭洋に接近した韓国海洋警察の警備艦は、無線で「ここは韓国領海だ。 海洋科学調査をするためには韓国政府の事前同意が必要だ」とし、昭洋に並走しながら同日午前9時22分まで調査の中止要求を繰り返した。昭洋は、日本のEEZ内だと反論して中止要求を拒否。同午前11時40分頃に一旦、海域を離れたが、午後0時7分からは別の韓国警察庁の所属船が同4時52分まで中止要求を繰り返し、日韓双方の船舶が対峙した。

 日本政府は、自国EEZ内の正当な調査活動だとして、外交ルートを通じて韓国政府に抗議した。韓国は2020年8月にも近くの海域で調査中だった海保の船に同じく中止要求し、日本政府が抗議していた。

 EEZ(exclusive economic zone)は、海上、海中、海底と海底下の水産資源や鉱物資源と海水、海流、海風から得られる自然エネルギーの探査や開発、保全管理を独占できる国連海洋法上の海域で、自国の沿岸線から200海里(370.4キロ)まで設定できる。

 日本は、国土面積は世界61位だが、EEZは世界6位で、日本の45倍の国土面積を持つロシアより広い海洋面積を有している。複数国の水域が重なる重複海域の場合は、どこで線引きを行うかは規定がなく、当該国が協議して定めることとされている。

 海上保安庁と韓国海洋警察が対峙した海域は、韓国と日本の沿岸からいずれも200海里以内にある両国のEEZが重なる「重複水域」で、相互協議で海域を定める必要があるが、韓国側が独島と呼ぶ竹島の領有権問題などで合意には至っていない。領海とEEZが広範囲に及ぶ竹島は、日韓双方が領有権を主張している。最大の懸案が解決できない状況で、海域を定めることは難しい。