2018年の南北首脳会談では金正恩委員長(肩書きは当時)は文在寅大統領との蜜月を演出していたが・・・(写真:代表撮影/Pyeongyang Press Corps/Lee Jae-Won/アフロ)

(羽田 真代:在韓ビジネスライター)

 1月5日に北朝鮮・平壌で開催された第8回朝鮮労働党大会において、最高指導者の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が「総書記」に就任した。父親の故・金正日(キム・ジョンイル)氏が用いた権威ある肩書を引き継いだ形となる。「党を代表し領導する首班として、全会一致で推戴された」と朝鮮労働党中央委員会の機関紙『労働新聞』は報じている。

「総書記」就任を受け、北朝鮮に片思い中の文在寅大統領はどのようなラブコールを送るのであろうか。

中国にまで見放された金正恩総書記

 2011年末に金正日氏が急死し、後継者となった金正恩氏は、翌2012年に朝鮮労働党中央委員会の第一書記に就任した。その後、2016年に委員長を名乗るようになり、今度は総書記である。今回の金正恩総書記誕生は、対米交渉の頓挫や国際社会からの制裁、新型コロナウイルス対応で苦境に直面していたことによる、苦肉の策であったという見方が強い。

 現在、北朝鮮の経済は非常に困窮している。2020年10月には、海外にいる北朝鮮の外交官の給与が未払いとなった。さらに、中国の銀行に北朝鮮のハッカーが襲撃をかけ、数億ドルを盗んだという疑いまで浮上。中国を激怒させている。この件については中国も怒り心頭に発しているようで、2020年10月の中朝の貿易統計は165万9000ドルと前月比92%減、前年比98%減(出典:中国税関総署)と異常な数値を叩き出している。

 北朝鮮では正月に国民に物資を配るのが恒例となっているが、今年は中国製菓子の配布がなかったそうだ。今まで友好国であった中国の製品さえも入ってこない。北朝鮮は外貨はもちろん、物資もない状態である。