北朝鮮と韓国の国境に沈む夕日

 北朝鮮の金正恩総書記(1月9日総書記就任)は第8回党大会(2021年1月5日~)で、「核戦争抑止力を備え、自衛的国防力を強化する」「破局に瀕した南北関係を収拾・改善する対策を講じていく」と報告した。

 とはいえ、南北関係では、韓国の対応によっては、これまでと違うことをするとも警告し、恫喝も行った。

 韓国が北の言うことを聞かなければ、「過激な行動に出るぞ」ということだろう。

 北の最終的目標は、韓国を武力統一することだ。

 時には友好、時には強硬姿勢を見せる。米国に「敵視政策を撤回せよ」というのは、和解という騙しで、米韓同盟をやめさせる狙いがある。

 友好姿勢で韓国を油断させ、軍事的にも外交的にも米日と離間させ、「韓国を孤立させる戦略」を継続的に進めている。

 何のために、韓国の孤立化を狙っているのか。戦略の古典「孫子」にそれがよく表されている。

 孫子の始計編に、「団結した敵は、離間・分裂させよ」、謀攻編に「(戦争における策略は)敵の同盟関係を断ち切って、敵を孤立させること」とある。

 現代の戦争に当てはめてみると、交戦する敵の同盟を破棄させ孤立させ、そして軍事的に弱体化させる。その後、戦って勝利するというというもので、戦理にかなったものだ。

 北の軍事的脅威が高まっていることからすれば、韓国は米国との同盟関係を強化し、日本とも友好関係を深め、準同盟の関係を築いて、南進されても叩き潰す体制を整えて準備することこそが、自由主義の韓国を存続させる国家戦略であろう。

 時に笑顔で同じ民族という言葉で友好外交を進める北朝鮮の狙いは、軍の南侵を止めている障害を取り除くことである。韓国を孤立させられれば、占領が容易くなる。

 言葉や笑顔では騙せても、軍事力の増強を分析すれば、北朝鮮の底流にある狙い、つまり罠が見える。

 韓国は、言葉や笑顔で何度も騙され、米日と離間させられ、軍事的に孤立化・弱体化させられていることに気が付いていない。

 韓国が罠に嵌り、孤立という間違えた方向に向かっていることが、軍事的に見てなぜ恐ろしいことなのか。今回はその点を分析する。