1月6日、ソウル駅のモニターに映し出された、北朝鮮の朝鮮労働党大会のニュースを眺める人々(写真:AP/アフロ)

 1月5日から平壌で行われている第8回朝鮮労働党大会は、厳粛かつ神々しく進行している。だが冷静に分析いくと、実に空疎なイベントだ。

 1月9日、朝鮮労働党の党規約が改正され、金正恩(キム・ジョンウン)委員長が金正恩総書記に変わった。5年ぶりに書記局制度を復活させ、父親の故・金正日(キム・ジョンイル)総書記と同じ肩書きにしたのだ。「党を代表し領導する首班として、全会一致で推戴された」と朝鮮労働党中央委員会機関紙『労働新聞』は報じている。

 思えば、2011年の年末に父親が急死し、後継者となった金正恩氏は、翌年に朝鮮労働党中央委員会の第一書記になった。その後、2016年には委員長を名乗るようになり、今度は総書記だ。

 だが、第一書記が委員長に変わり、委員長が総書記に変わることに、一体何の意味があるというのだろう? これまでの独裁者が、これからも独裁者でいるというだけのことではないか。

妹・与正氏が降格

 実は党大会前に、一つの噂が立っていた。それは、第7回朝鮮労働党大会以降の5年間の成果があまりに乏しいので、現在、金正恩氏の朝鮮人民軍における肩書きである元帥を、大元帥に格上げするのではないかというものだ。「党と軍を代表し領導する首班として、全会一致で推戴された」として、党大会を盛り上げるのではないかというわけだ。

 だがこれは、あまりに軍における金正恩氏の実績が乏しいとして、軍幹部たちが難色を示した可能性がある。それでも強引に大元帥になることもできたろうが、ここまで国内経済が悪化した上に、軍幹部たちまで敵に回しては、自らの地位も危うくなるというものだ。それに、この9年あまりの金正恩氏の執政を見ていると、朝鮮人民軍に強い関心があるようには思えない。そこが父親と、決定的に違う点だ。

(参考記事)金正恩、国内疲弊なのに党大会開かざるを得ない事情
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63341