(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年1月8日付)

民主党がジョージア州で2議席獲得したことで、ここ30年続いてきた格差拡大をリセットするチャンスが生まれた

 民主党がジョージア州での連邦上院議員選挙の決選投票で2議席を独占した。

 普通の状況であれば、この驚くべき勝利の報に接した投資家たちは今頃、一つの大きな疑問で頭がいっぱいになっているだろう。

 この選挙結果は今後の経済政策の方向性にとってどんな意味を持つのか、という疑問だ。

 しかし、今は普通の状況とは遠くかけ離れている。

 大統領の弾劾や反乱をめぐる議論が始まり、経済政策の立案を新聞の1面から追い出しただけでなく、新型コロナウイルス感染症「COVID-19」による米国での1日当たりの死者数が6日にほぼ4000人に達し、過去2番目の高水準を記録した暗いニュースまでもかき消してしまったからだ。

 しかし、この騒ぎが落ち着いてきたら、投資家は一歩後ろに下がり、弾き飛ばされた2本のニュースの大きな重要性について考えた方がいい。

 それと同時に、「i」で始まるほかの単語についても思いをめぐらせるべきだ。

 それは「insurrection(反乱)」でも「impeachment(弾劾)」でもない。「inequality(経済格差、不平等)」である。

コロナ禍で格差拡大に拍車

 ジョー・バイデン次期大統領は昨年、米国における深刻な富の不均衡の是正に取り組むと公約することに大半の時間を費やした。

 民主党が何年も前からこれを主要なテーマとしてきたこと、米国の経済格差を表すデータがますますグロテスクになっているように見えることなどを考えれば、これは意外なことではない。

 コンサルティング会社のデロイトがまとめた報告書にある通り、米国民の世帯所得ランキングで最上位10%に入る人々の富(純資産)が米国民全体のそれに占める割合は、過去30年間で60.8%から70%に拡大した。

 また最上位1%の人々のシェアは、同じ時期に17.2%から26%へと急拡大している。