米国の上下院に乱入したトランプ支持者たち(1月6日、写真:ロイター/アフロ)

米議会史上最悪の汚点

 日本の知人数人からメールが届いている。

「デモ隊の議事堂乱入・占拠はトランプ大統領の煽動だと、ことを矮小化することなく、米国では一体何が起こっているのか知りたい」

「何をやりだすか予想できないトランプ氏が去るのはいいが、共和党は今後どうなるのか。米国の保守はどうなるのか」

 多くの政治家やメディア編集者も異口同音に「前代未聞のことが起こった」「真珠湾攻撃以来の破廉恥で屈辱的な出来事」と驚き、怒りを口にしている。

 しかし、「一体何が起こっているのか」を分析するには至っていない。そんな余裕すらないのだ。パニック状態だ。コロナ禍がすっ飛んでしまった。

(8日現在全米の感染者数は2180万人、死者数は36万人だというのに)

 それをズバリ、言ってのけたのは、有力紙ロサンゼルス・タイムズのローレイン・アリ記者だ。

 政治記者ではない。テレビ批評担当記者としては名うての女性ジャーナリストだ。

「イエス、これはアメリカ合衆国だ。テレビ画面に映し出されている光景はまさにバナナ共和国のそれだ。我が国はバナナ共和国に仲間入りしてしまった」

 バナナ共和国とは、経済・政情不安定で政権が変わるたびにクーデターを起こしている、民主主義が未熟な中南米の小国のことを指す。